活用例

VPU インフラストラクチャ
(IaaS)
導入企業:Akamai

Akamaiは、NETINTのQuadra T1U VPUを自社のクラウド基盤「Akamai Cloud」に導入し、VODやライブストリーミング向けの映像エンコード/トランスコード環境をクラウドサービスとして提供しています。

これまでQuadra VPUを利用するには、VPUを購入して自社のサーバーやデータセンターへ導入する必要がありました。 Akamai Cloudでは、Quadra VPUを搭載したクラウド環境を必要に応じて利用できるため、ユーザーは専用ハードウェアを所有することなく、VPUによる高速・高密度な映像処理を利用できます。

Quadra VPUは映像のエンコード/トランスコードに特化したプロセッサで、1基で多数の映像ストリームを同時に処理できます。そのため、CPUやGPUを中心とした映像処理環境と比較して、消費電力やコストを抑えながら、大規模な映像配信に必要な処理能力を確保できることが大きな特長です。

また、配信規模の拡大に応じてクラウド上のVPUリソースを追加できるため、自社でサーバーを増設することなく、映像処理能力を柔軟に拡張できます。

利用規模に応じて選択できるVPUプラン

Akamai Cloudでは、Quadra T1U VPUを搭載した複数のプランが用意されており、必要な映像処理能力やワークロードに応じて、VPU数、vCPUコア数、メモリ、ストレージ容量の異なる構成を選択できます。

たとえば、VPUを1基搭載した「Quadra T1U VPU – x1 sm」では、8 vCPUコア、16 GBメモリ、200 GBストレージを利用できます。

より多くの映像ストリームを処理する場合には、VPUを2基搭載した「x2 sm」を選択できます。また、「x1 med」はVPU数は1基のままですが、12 vCPUコア、24 GBメモリ、300 GBストレージを備えており、VPUによる映像処理に加えて、より多くのCPUやメモリを必要とするワークロードにも対応できます。

つまりAkamai Cloudでは、単にQuadra VPUの処理能力だけを提供するのではなく、VPU、CPU、メモリ、ストレージを組み合わせた映像処理用のクラウド環境として提供しています。

これによりAkamai Cloudのユーザーは、専用のVPUサーバーを自社で購入・設置・管理することなく、必要な規模の映像処理環境をクラウド上に構築できます。さらに、配信規模や処理量の変化に応じて必要なVPUリソースを選択できるため、初期のインフラ投資を抑えながら、大規模なストリーミングサービスへ柔軟に対応することができます。

高密度デコード
(Dense Decoding)
セキュリティ / 監視システム

Quadra VPUによる大規模監視システムの効率化

空港や駅、大規模施設など、多数の監視カメラを使用する環境では、数百台のカメラから送られてくる映像を同時に処理し、表示、録画、解析するため、、高い処理能力を備えたサーバーが必要となります。また、24時間連続して録画する場合には、膨大な映像データを保存するための大容量ストレージも必要です。

Quadra VPUを監視システムのサーバーに導入することで、VPU 1基あたり最大48ストリームの1080p30映像を同時にデコードでき、1Uサーバー1台では最大480ストリームを処理できます。

多数の監視カメラから送られてくる映像ストリームをQuadra VPUで一括してデコードし、監視端末への表示や録画、AI映像解析などの後段処理へ渡すことで、大規模な監視システムでも、サーバー台数を抑えながら多数のカメラ映像を効率的に処理できます。

録画データのストレージ容量を削減

監視システムでは、多数のカメラ映像を長期間保存するため、ストレージ容量とそのコストも大きな課題となります。

Quadra VPUを使用して映像を効率よく再エンコードし、出力ビットレートを低減することで、録画データの保存に必要なストレージ容量を最大80%削減できます。これにより、大規模な監視システムにおけるストレージ設備や運用コストの削減にもつながります。

既存の監視カメラを活用したAI映像解析

Quadra VPUにはAI処理機能も搭載されており、カメラから送られてくる映像に対して、顔認識、物体検出、分類などのAI映像解析をサーバー側で実行できます。

そのため、既存の監視カメラをAI対応カメラへ交換することなく、既存のカメラ設備を活用しながらAI映像解析機能を追加できます。

このようにQuadra VPUを活用することで、多数の監視カメラ映像の同時処理、録画データのストレージ容量削減、AIによる映像解析をサーバー側に集約できます。 既存のカメラ設備を活かしながら、大規模な監視システムの処理能力向上と運用効率化を実現できることが、このソリューションの大きな特長です。

エッジエンコーディング
(Edge Encoding)

エッジ環境で低遅延な映像処理を実現

ライブ配信やVODサービスでは、視聴者へ映像を配信するだけでなく、視聴地域やユーザーに応じて異なる広告を挿入するダイナミック広告挿入(Dynamic Ad Insertion)など、リアルタイムな映像処理が求められます。

こうした処理を遠隔地の大規模なデータセンターだけで行うと、映像データの転送や処理による遅延が発生する可能性があります。そこで、視聴者に近いネットワークのエッジ側で映像処理を行うエッジエンコーディングが利用されます。

QuadraのコンパクトなM.2 VPUをエッジサーバーに搭載することで、限られたスペースでも高密度な映像処理環境を構築し、低遅延で映像のエンコードや広告挿入などの処理を行うことができます。

ダイナミック広告挿入を低遅延化

ライブ配信やVODにダイナミック広告を挿入する場合、CDNから送られてくる映像と、広告配信システムによって選択された広告映像をリアルタイムに組み合わせる必要があります。

Quadra M.2 VPUでは、YUV/RGBA形式の映像データをP2P(Peer-to-Peer)で直接受け渡すことで、データ転送に伴うオーバーヘッドを抑え、広告映像の合成やエンコード時の遅延を最小限に抑えることができます。

これにより、視聴者の地域や条件に応じて異なる広告を挿入する場合でも、映像配信への影響を抑えながらリアルタイムに処理できます。

クラウドゲーミングにも対応

エッジエンコーディングは、クラウドゲーミングのように低遅延が特に重要となるサービスにも適しています。

クラウドゲーミングでは、サーバー上でレンダリングされたゲーム映像をリアルタイムにエンコードしてユーザーへ送信する必要があるため、映像処理のわずかな遅延も操作に対するレスポンスへ影響します。

Quadra M.2 VPUをユーザーに近いエッジ環境へ配置することで、映像のエンコードと配信に伴う遅延を抑え、より応答性の高いクラウドゲーミング環境を構築できます。

このようにQuadra M.2 VPUを活用することで、コンパクトなエッジサーバー上で高密度かつ低遅延な映像処理を実現し、ダイナミック広告挿入やクラウドゲーミングなど、リアルタイム性が求められる映像サービスに対応できることが、このソリューションの大きな特長です。

マルチレイヤー AV1 エンコーディング
(Multilayer AV1 Encoding)

複数の映像レイヤーを活用した柔軟な映像配信

動画配信では、背景となる映像に広告、ロゴ、テロップ、グラフィックスなど、複数の映像要素を重ねて表示することがあります。

Quadra VPUは、こうした複数の映像要素をレイヤーとして扱うマルチレイヤーAV1エンコーディングに対応しています。

最大4つのAV1レイヤー(BL、EL1~EL3)を利用でき、ベースとなる背景映像に広告やグラフィックスなどの要素を追加することで、ダイナミックな広告表示や複数の映像要素を組み合わせたコンテンツを構成できます。

ベースレイヤーと拡張レイヤー

マルチレイヤーAV1では、映像の基本となるBL(Base Layer:ベースレイヤー)に、EL(Enhancement Layer:拡張レイヤー)を追加していくことで、複数の映像要素を組み合わせます。

上図では、最下段の「Background / BG」がベースとなる背景映像を表しています。その上に「Ad overlay + BG」として広告要素を追加し、さらに別の広告要素を重ねた「More ad overlay + BG」へと、段階的に映像を構成するイメージが示されています。

このようなレイヤー構造を利用することで、背景となる映像をベースにしながら、用途に応じて広告やグラフィックスなどの追加要素を組み合わせた映像を構成できます。

1080p60のリアルタイム処理に対応

広告やグラフィックスを動的に追加する用途では、複数の映像レイヤーを扱いながら、リアルタイムに処理する性能が求められます。

Quadra VPUは、最大4レイヤーを使用した1080p60のマルチレイヤーAV1エンコーディングをリアルタイムに処理できます。 また、レイヤー間の参照構造をカスタマイズできるため、ダイナミック広告やリアルタイムエフェクトなど、複数の映像要素を組み合わせる高度な映像表現にも対応できます。

このようにQuadra VPUのマルチレイヤーAV1エンコーディングを活用することで、背景映像をベースに広告やグラフィックスなどの複数の映像要素を組み合わせ、高フレームレートでリアルタイムに処理できることが、このソリューションの大きな特長です。

トランスコーディングにおける AI アクセラレーション
(AI Acceleration in Transcoding)

Quadra VPUとGPUによる効率的なAI映像解析

監視カメラやスポーツ中継などの映像をリアルタイムにAI解析する場合、すべての映像データをGPUへ送り、高度なAIモデルで解析すると、GPUに大きな処理負荷がかかります。

Quadra VPUでは、映像のデコードやエンコードと並行して、VPUに搭載されたAI処理機能を使用し、映像内で解析が必要となるROI(Region of Interest:注目領域)を検出できます。

検出したROIの座標情報をGPU側の高度なAIモデルへ渡すことで、GPUは映像全体ではなく、必要な領域を中心にAI推論を行うことができます。

VPU と GPU で AI 処理を分担

上図では、入力された映像をまずQuadra VPUでデコードし、その後の処理をVPUによる映像エンコードとAIによるROI検出に分けています。

Quadra VPUで検出したROIの座標情報はGPUへ送られ、GPU側では、より高度なAIモデルを使用して対象領域の詳細な解析を行います。

このように、映像全体に対して負荷の高いAI解析をGPUだけで実行するのではなく、VPUで解析対象となる領域をあらかじめ絞り込み、より高度な解析をGPUに担当させることで、VPUとGPUの処理を効率的に分担できます。

GPUの処理負荷を軽減

たとえば、多数の人物が映る監視カメラ映像を解析する場合、画面全体を常に高度なAIモデルで解析するのではなく、Quadra VPUで人物などの注目領域を検出し、その領域をGPU側で詳しく解析するといった処理が可能になります。

これにより、GPUが処理する映像領域を必要な部分に絞り込むことができ、GPUの演算負荷を軽減しながら、リアルタイムなAI映像解析を効率化できます。

この仕組みは、監視システムだけでなく、選手やボールなど特定の対象を追跡・解析するスポーツ映像や、リアルタイムのライブモニタリングなどにも活用できます。

このようにQuadra VPUを活用することで、映像のデコード/エンコードとROI検出をVPU側で処理し、高度なAI推論をGPU側で実行するという役割分担が可能になります。GPUの負荷を抑えながら、リアルタイムAI映像解析を効率化できることが、このソリューションの大きな特長です。

CDN 向け Capped CRF エンコーディング
(Capped CRF Encoding for CDN)

映像品質とビットレートを両立したライブ配信

ライブストリーミングでは、映像品質を維持しながら、ネットワークで転送するデータ量を抑えることが重要です。 特にCDNを利用して多数の視聴者へ映像を配信する場合、ビットレートの増加はネットワーク帯域の使用量やCDNコストの増加につながります。

CRF(Constant Rate Factor)は、映像の内容に応じてビットレートを変化させながら、一定の映像品質を維持することを目的としたエンコード方式です。 しかし、動きの激しい映像や複雑な映像では、映像品質を維持するためにビットレートが大きく上昇する場合があります。

Capped CRFでは、CRFによる品質制御に最大ビットレートの上限(Cap)を設定します。これにより、映像品質を重視したCRFのメリットを活かしながら、ビットレートが設定値を超えて大幅に増加することを防ぐことができます。

CDNの帯域使用量とコストを管理

Quadra VPUはCapped CRFによる高密度なエンコーディングに対応しており、多数のライブストリームを効率よく処理しながら、それぞれのストリームの最大ビットレートを制御できます。

これにより、CDNへ送出する映像のデータ量が予想以上に増加することを抑え、必要なネットワーク帯域やCDNコストを予測・管理しやすくなります。

上図では、ライブストリーミングのエッジノードからCDNメディアサーバーへ送られた映像を、複数のQuadra VPUで高密度に処理し、その後CDNのライブストリーミング配信システムへ送出する構成が示されています。

ABRストリーミング向けの複数映像を効率的に生成

OTTなどの動画配信サービスでは、視聴者の通信環境やデバイスに応じて最適な画質へ切り替えられるよう、同じ映像から解像度やビットレートの異なる複数のストリームを生成するABR(Adaptive Bitrate)が広く利用されています。

Quadra VPUは、ABRで使用する複数の解像度を生成するための2Dダウンスケーリング処理にも最適化されています。 これにより、高解像度の入力映像から1080p、720p、480pなど、解像度やビットレートの異なる複数の配信用ストリームを効率的に生成できます。

また、旧世代のサーバーやLinux OSディストリビューションにも対応しているため、既存のCDNインフラを活用しながらQuadra VPUによる映像処理環境を導入できます。

このようにQuadra VPUのCapped CRFエンコーディングを活用することで、映像品質を維持しながらビットレートの上限を制御し、CDNの帯域使用量とコストを管理しやすくするとともに、大量のライブストリームを効率的に処理できることが、このソリューションの大きな特長です。

ライブ・コントリビューション・エンコーディング
(Live Contribution Encoding)

放送・ライブ制作における高品質・低遅延な映像エンコーディング

スポーツ中継やライブイベントなどの放送・ライブ制作では、カメラや制作システムから出力されるSDI映像を、伝送やストリーミング配信に適した形式へリアルタイムにエンコードする必要があります。

Quadra VPUを使用することで、SDIなどの放送用映像を高品質かつ低遅延でエンコードし、伝送用の高品質なメザニンストリームと、視聴者への配信に使用するABR(Adaptive Bitrate)ラダーを効率よく生成できます。

メザニンストリームとABRラダーを同時に生成

メザニンストリームとは、映像品質をできるだけ維持した状態で、後段の映像処理や伝送に使用する高品質な中間ストリームです。

たとえばQuadra VPUでは、4K60 HDR HEVCなどの高品質なメザニンストリームを生成すると同時に、1080p、720p、480pなど、解像度やビットレートの異なる複数の配信用ストリームから構成されるABRラダーを生成できます。

これにより、1つの入力映像から、放送・伝送向けの高品質な映像と、インターネット配信向けの複数の映像を同時に生成することができます。

上図では、SDIから入力された映像にソフトウェアによる前処理を行い、必要に応じてQuadra VPUでスケーリングした後、Quadra VPUでエンコードするワークフローが示されています。エンコードされた映像は、用途に応じて複数のストリームとして出力できます。

ローカル処理による低遅延化

ABRラダーの生成をクラウド側で行う場合、映像をクラウドへ転送して処理する必要があるため、ネットワーク転送などによる遅延が発生する可能性があります。

Quadra VPUを放送局やライブ制作現場のサーバーに導入し、入力された映像をローカル環境で直接処理することで、クラウドへ映像を送って処理する場合と比較して遅延を抑えることができます。

また、エンコード処理を制作現場側で管理できるため、映像品質を確認しながら運用しやすく、ライブ制作で重要となる品質管理(QC)の面でもメリットがあります。

少ないハードウェアで多数の映像を処理

Quadra VPUは映像のエンコードに特化したプロセッサであるため、SDIなどから入力される複数の映像ストリームを高密度に処理できます。 これにより、放送局やライブ制作環境において、サーバー台数や設備規模を抑えながら、多数の映像ストリームをリアルタイムにエンコードするシステムを構築できます。

このようにQuadra VPUを活用することで、SDIなどの放送用映像から、高品質なメザニンストリームと配信用のABRラダーを同時に生成し、低遅延かつ高密度な映像処理を実現できることが、このソリューションの大きな特長です。

マルチビューエンコーディング
(Multiview Encoding)

複数のライブ映像を1画面にまとめて配信

スポーツ配信などでは、複数の試合や複数のカメラアングルを1つの画面に並べ、視聴者が同時に確認できるマルチビュー表示が利用されています。

たとえばスポーツベッティングやファンタジースポーツでは、複数の試合を同時に確認したり、1つの試合を異なるカメラアングルから確認したりする用途が考えられます。

Quadra VPUでは、4つ以上の独立した映像フィードをそれぞれエンコードし、それらをタイルとして組み合わせることで、複数の映像を1つのビットストリームとして配信できます。

映像を再エンコードせずにレイアウトを変更

一般的に、複数の映像を1つの画面に合成して新しい映像を作成する場合、合成した映像を再度エンコードする処理が必要になります。

Quadra VPUを使用したマルチビューでは、各映像フィードを個別のタイルとして1回エンコードし、その後、ソフトウェアによって必要なタイルを選択して組み合わせることで、異なるマルチビューレイアウトを構成できます。

上図では、複数の映像フィードをQuadra VPUでエンコードした後、Software Bitstream Selection and Stitchingによって必要な映像を選択・結合し、異なるレイアウトのマルチビュー映像を生成する流れが示されています。

各映像フィードをレイアウトごとに再エンコードする必要がないため、同じエンコード済み映像を利用して、用途に応じた複数のマルチビューレイアウトを効率的に生成できます。

MCTSによるタイルベースの映像処理

この仕組みでは、MCTS(Motion-Constrained Tile Sets)と呼ばれるタイルベースのエンコーディング技術を利用します。

通常の映像圧縮では、隣接する領域の映像情報を参照して圧縮効率を高めることがあります。 しかし、複数の独立した映像をタイルとして組み合わせる場合、タイルの境界を越えて映像情報を参照すると、異なる映像同士の境界で映像の乱れが発生する可能性があります。

MCTSでは、動き予測などの参照範囲を各タイル内に制限することで、タイル同士を独立して扱えるようにします。これにより、複数の映像フィードを組み合わせても、タイル境界での映像の乱れを抑えることができます。

スポーツ配信に適した柔軟なマルチビュー

各映像フィードを1回エンコードしておけば、配信サービス側で必要な映像を選択し、さまざまなレイアウトに組み合わせることができます。

たとえば、同じ複数のスポーツ映像から、あるユーザーには4試合を同時表示するレイアウト、別のユーザーには特定の2試合を大きく表示するレイアウトといったように、用途に応じたマルチビューを構成できます。

このようにQuadra VPUを活用することで、複数の映像フィードを一度だけエンコードし、そのエンコード済み映像を再利用して、さまざまなマルチビューレイアウトを効率的に生成できることが、このソリューションの大きな特長です。

Quadra VPU への移行による 860 万ドルのコスト削減
導入企業:Mayflower

大規模ストリーミング基盤をCPUからVPUへ移行

Mayflowerは、大量のUGC(User Generated Content:ユーザー生成コンテンツ)を扱う大規模なストリーミングCDNを運用しています。

大量の映像コンテンツを配信するためには、多数の映像を配信用フォーマットへ変換するエンコード/トランスコード処理が必要となり、その処理規模が拡大するにつれて、サーバー設備や消費電力などのコストも増加します。

Mayflowerでは、この大規模な映像処理基盤で使用していたCPUベースのエンコーダーを、映像処理に特化したQuadra VPUへ移行しました。

コンピューティングコストを1,000万ドルから140万ドルへ削減

CPUやGPUを中心とした従来の映像処理インフラでは、約1,000万ドル規模のコストが必要でした。

これをQuadra VPUベースのインフラへ移行することで、コストを約140万ドルまで削減し、年間で約860万ドル(約80%)のコスト削減を実現しました。

Quadra VPUは映像のエンコード/トランスコードに特化したプロセッサで、1基で多数の映像ストリームを高密度に処理できます。そのため、大量のCPUやGPUを使用する構成と比較して、より少ないハードウェアで大規模な映像処理基盤を構築できます。

大規模な映像配信ほど大きなコスト削減効果

UGCを扱うストリーミングサービスでは、ユーザーから大量の映像が継続的にアップロードされるため、それらをさまざまな解像度やビットレートへ変換する膨大なトランスコード処理が発生します。

Mayflowerのような大規模な環境では、映像処理の効率を高めることが、必要なサーバー台数や設備規模、消費電力などの削減につながります。

このように、汎用的なCPUやGPUを中心とした映像処理基盤から、映像処理専用のQuadra VPUへ移行することで、大規模なストリーミングサービスに必要な処理能力を維持しながら、インフラストラクチャにかかるコストを大幅に削減できることが、この事例の大きなポイントです。

Quadra VPU によるエンコードコスト 99.3% 削減
導入企業:api.video

動画エンコードのコストを大幅に削減

api.videoは、開発者がAPIを利用して、動画のアップロード、エンコード、配信などの機能をWebサイトやアプリケーションへ組み込むことができるクラウドベースの動画プラットフォームです。

こうした動画プラットフォームでは、ユーザーからアップロードされた映像を、配信に適した解像度やビットレート、コーデックへ変換するため、大量のエンコード/トランスコード処理が必要となります。 サービスの利用者や動画の本数が増えるほど、エンコードに必要なコンピューティングリソースとそのコストも増加します。

api.videoでは、この映像処理にQuadra VPUを導入することで、エンコードコストを99.3%削減しました。

エンコードコストを1分あたり0.0002ドルまで削減

Quadra VPUは映像のエンコード/トランスコードに特化したプロセッサで、CPUやGPUを中心とした処理と比較して、多数の映像ストリームを高密度かつ効率的に処理できます。

api.videoでは、Quadra VPUを利用することで、エンコードコストを1分あたり0.0002ドルまで削減しました。

この大幅なコスト削減によって、それまでサービス提供側にとって大きなコスト要因だった映像エンコードを、顧客に対して無料で提供する「Free Encoding(無料エンコード)」を実現しました。

単にインフラコストを削減しただけではなく、その削減効果をサービスそのものの価格競争力へつなげたことが、この事例の大きなポイントです。

コストを削減しながら映像品質を維持

エンコードコストを大幅に削減する一方で、映像品質を維持することも重要です。

api.videoではQuadra VPUを使用することで、コストを大幅に抑えながら、FFmpegによるソフトウェアエンコードと同等レベルの高品質なH.264/HEVC映像を維持しています。

これにより、映像品質を犠牲にしてコストを削減するのではなく、高品質な動画配信サービスを維持しながら、エンコード処理にかかるコストを大幅に削減することが可能になりました。

コスト削減をサービスの競争力へ

動画プラットフォームでは、利用者や動画コンテンツが増加するほど、エンコード処理に必要なコストも増加します。そのため、1本あたりの処理コストを削減することは、大規模なサービスほど大きな効果につながります。

api.videoでは、Quadra VPUによってエンコードコストを大幅に削減したことで、エンコードを無料サービスとして提供するという新たな付加価値を生み出し、顧客ロイヤルティの向上につなげています。

このようにQuadra VPUを活用することで、映像品質を維持しながらエンコードコストを99.3%削減し、そのコストメリットを「無料エンコード」というサービス上の差別化につなげたことが、この事例の大きな特長です。

既存の監視カメラを交換せずに 4K 監視システムへアップグレード

既存設備を活用して監視システムを高画質化

大規模な監視システムでは、多数のカメラが設置されているため、システムを高画質化するためにすべてのカメラやサーバーを交換すると、多額の設備投資が必要になります。

Quadra VPUを既存の監視システムに導入することで、既存のカメラ設備を活用しながら、映像のデコード、画像処理、エンコードなどをVPU側で効率的に処理し、監視システムの高画質化を図ることができます。

映像処理をQuadra VPUに集約

上図では、多数の既存監視カメラから送られてくる映像をソフトウェアで分離(Demux)した後、Quadra VPUへ入力する構成が示されています。

Quadra VPUでは、デコード(Decode)、AI解析用フレームの抽出(AI Frame Extraction)、2D映像処理(2D Engine)、エンコード(Encode)といった一連の映像処理を実行できます。

処理された映像はストレージへ保存できるほか、HLS/DASH、RTSP/RTSPSなどを使用して監視端末やネットワークへ配信することができます。

このように、映像処理に必要な複数の機能をQuadra VPUに集約することで、多数の監視カメラを使用する環境でも、効率的な映像処理システムを構築できます。

既存カメラを活用して設備投資を抑制

このソリューションの大きなメリットは、監視システムをアップグレードする際に、既存の監視カメラをすべて新しいカメラへ交換する必要がないことです。

既存のカメラ設備を継続して利用しながら、サーバー側の映像処理基盤にQuadra VPUを導入することで、システム全体の処理能力や映像処理機能を強化できます。

これにより、大量のカメラを交換するための設備投資を抑えながら、既存の監視システムを段階的にアップグレードすることができます。

AI映像解析への対応

Quadra VPUでは、映像のデコード/エンコードだけでなく、AI解析に必要な映像フレームを抽出することもできます。

抽出したフレームをAI解析システムへ渡すことで、既存の監視カメラから取得した映像を活用して、物体検出や分類などのAI映像解析へ展開することも可能です。

このようにQuadra VPUを活用することで、既存の監視カメラ設備を活かしながら、映像処理基盤の高性能化やAI映像解析への対応を進められることが、このソリューションの大きな特長です。

監視映像のアーカイブ容量を最大 80% 削減

長期間保存する監視映像のストレージ容量を削減

自治体、工場や物流施設、大規模な企業施設などでは、多数の監視カメラから送られてくる映像を24時間記録し、
一定期間保存する必要があります。

カメラの台数が増えたり、映像が高解像度化したりすると、保存するデータ量も増加するため、大容量のストレージ設備が必要となり、導入・運用コストも大きくなります。

Quadra VPUを活用することで、撮影・記録された監視映像に対してAIを活用した映像圧縮処理を行い、必要な映像品質を維持しながらビットレートを大幅に低減できます。

アーカイブ容量を元の約20%まで圧縮

Quadra VPUによる映像圧縮を利用することで、監視映像のアーカイブ容量を最大80%削減できます。 これにより、大量の監視映像を長期間保存する環境でも、必要なストレージ容量を大幅に抑えることができます。

上図は、NETINTのVPUによる映像圧縮によって、監視映像の保存に必要なストレージ容量を従来の約20%まで削減できることをイメージしたものです。

大量の監視映像を長期間保存する環境では、1本の映像データを小さくすることで、システム全体で必要となるストレージ容量を大幅に削減できます。

必要な映像品質を維持

監視映像では、単にファイルサイズを小さくするだけでなく、人物や物体、車両など、監視や確認に必要となる映像情報を維持することが重要です。

Quadra VPUでは、AIを活用した映像処理によって、目標とする映像品質を維持しながらビットレートを低減します。 これにより、監視用途として必要な映像品質を確保しながら、長期間保存する映像データの容量を削減できます。

ストレージの CAPEX と OPEX を削減

アーカイブする映像データ量を削減することで、必要となるストレージ設備そのものを小規模化できます。

その結果、大容量ストレージを導入するための設備投資(CAPEX)を抑えられるだけでなく、ストレージの電力、保守・管理などにかかる運用コスト(OPEX)の削減にもつながります。

このようにQuadra VPUを活用することで、監視用途に必要な映像品質を維持しながら、アーカイブ容量を最大80%削減し、長期保存に必要なストレージ設備と運用コストを抑えられることが、このソリューションの大きな特長です。

Quadra VPU によるハードウェア 50% 削減
導入企業:Zapping

ライブストリーミング基盤の効率化

Zappingは、インターネットを通じてテレビ番組やライブコンテンツを配信するストリーミングサービスを展開しています。

こうしたライブストリーミングサービスでは、さまざまな視聴環境に対応するため、入力された映像を複数の解像度やビットレートへリアルタイムに変換する必要があります。 配信するチャンネル数や映像ストリーム数が増えるほど、エンコード/トランスコードに必要なサーバーも増加し、設備規模や消費電力、運用コストの増大につながります。

Zappingでは、この映像処理基盤にQuadra VPUを導入することで、ライブストリーミングに必要なエンコード/トランスコード処理を高密度化しました。

必要なハードウェアを50%削減

Quadra VPUは、映像のエンコード/トランスコードに特化したプロセッサで、1基で多数の映像ストリームを同時に処理できます。

この高密度な映像処理能力を活用することで、Zappingでは従来の映像処理環境と比較して、ライブストリーミング基盤に必要なハードウェアを50%削減しました。

必要なサーバー台数を削減することで、機器の導入コストだけでなく、サーバーラックの設置スペースや消費電力、冷却、保守・管理など、ストリーミング基盤全体の運用効率向上にもつながります。

大規模なライブ配信をより少ない設備で実現

スポーツ中継などのライブ配信では、多数の映像ストリームをリアルタイムかつ安定して処理する必要があります。

Quadra VPUによって1台のサーバーで処理できる映像ストリーム数を増やすことで、配信規模の拡大に伴ってサーバーを大量に増設する必要性を抑え、よりコンパクトなシステムで大規模なライブストリーミング環境を構築できます。

このようにZappingでは、Quadra VPUの高密度な映像処理能力を活用することで、ライブストリーミングに必要なハードウェアを50%削減し、設備規模や運用コストを抑えながら効率的な映像配信基盤を構築しています。